時空の森と悪戯な風
家に、どうやって帰ってきたのか、全く分からなかった。
分かっている事は、今のアタシには、生きる気力が無い事だけだった。
父は言った。
『弥生の幸せを願ってる』と。
智治も言った。
『弥生の幸せが俺の幸せだから』と。
アタシの幸せは何?
もう答えは出ていた。
『自分の気持ちに正直になりなさい』
お父さん…
これがアタシの
正直な気持ちなの…
ハンカチの中から、さっき拾ってきた桜の花びらを、ベッドの上に撒き散らした。
そして、小箱から智治の写真を取り出すと、そっとキスをした。
「智治…アナタは怒るかもしれない。でも、これがアタシの答えなの…」
大量の薬を飲み、花びらいっぱいのベッドに倒れた。
そして…
そのまま深い、深い眠りについた。