時空の森と悪戯な風
『弥生、お前が倒れて、どれくらい経つと思う?』
「2~3日?」
『もう4週間。彼は毎朝、時空の森に来てるんだよ。弥生を連れていかないでくれって』
「そのたび、智治は圭介に呼び出されたの?」
『呼ばれたよ。でも何回かは、風を起こさなかったんだ』
時空の森の風は、会いたいと願われた人が起こしてたんだ。
じゃ…風が無かったあの日は、智治がワザと風を起こさなかったんだ。
『どうする事が一番いいのか考えてた。どうしたら、お互い納得出来るか…そう考えたらコレになった』
ここで会って、話をして手を繋いで…
そういう事なの?
『俺は弥生と一緒にいたい。でも、こんな形じゃない。これじゃ誰も幸せじゃない』
「アタシは幸せよ?」
『本気でそう思うのか?少なくとも、俺は幸せじゃない』
「え…?」
『だから言っただろ?こんな形じゃないって』