時空の森と悪戯な風
車中に圭介はいなかった。
公園にもいない。
周りを見ると、森の中に入っていく圭介を見付けた。
「どこ行くの?」
見付からないように、後を追いかけた。
森の中には散歩コースもあり、木の階段や休憩出来るベンチもあった。
でも圭介は、周りの景色を見る事なく、黙々と森の奥へと歩いていく。
“もしかしたら圭介は噂の場所を知ってるのかも…”
見失わないように、距離を保ったまま付いていった。
すると突然、圭介が走り出した。
アタシも息を切らせながら走るけど追い付かない。
遂に圭介を見失ってしまった。
諦めて帰ろうとしたその時、急に風が森の中を駆け巡ると、ピタッと止んだ。
「この先に何があるの?」
ゆっくり歩いていくと、そこには光に包まれた圭介がいた。