時空の森と悪戯な風
長い入院生活が終わり、いよいよ退院の日を迎えた。
「元気になって良かったよ」
圭介が、車のトランクに、アタシの荷物を入れた後、運転席に乗って言った。
「うん、まだ足元はフラつくけどね」
アタシは助手席に乗った。
「じゃ、行くか。弥生の家まで」
ゆっくり病院を後にした。
「弥生、具合悪くないか?」
運転中、何度もアタシを気遣ってくれる圭介。
「大丈夫だよ。でも…せっかく天気いいから、ちょっと寄り道していい?」
「いいけど、どこに行くんだ?」
「ここ」
と言って窓の外を指差した。
「ここ…いつもの海浜公園じゃん」
「うん、ここがいいの」