光と影



「さきー部活行こ!」




そう言って私を教室まで
迎えに来たのが、
小学校から仲良しの
田中萌(タナカ モエ)。




クラスは違うが部活も一緒で、
今も大親友だ。




憧れの先輩がいて、
私はバスケ部に入った。




「おーさき!萌〜」




そう言ってかわいい笑顔で
手を振っているのは
同じバスケ部の
金田春花(カネダ ハルカ)
と石谷百菜(イシヤ モモナ)。
2人も同じ小学校で仲良しだった。





部活まで時間が
あったから部室にいることにした。





「えー?!大丈夫??」
そう大きな声を出したのは私。
春花の手首には数本の傷がついていた。
それを、"自分でやった"
と言いだしたからだ。







いわゆるリストカット。






「痛くないの??」
私は痛いことが大嫌いだから
自分で自分を傷つけるのは
信じられなかった。




「うん。痛くないよ」




そう言っている春花は
意外にも元気そう。
何でリスカをしたのかは
言わなかったけれど、
そんなことをして
馬鹿馬鹿しいと私は思った。





何日か経って、
萌もリスカをするようになった。
理由は教えてくれない。




「萌と春花がリスカしてるさあ」




私は家に帰ってお母さんに話した。




「親にもらった体傷つけるなんて駄目だね。
あんたは絶対やるんじゃないよ!」




お母さんの言うとおり。
親からもらった体。
なんでわざわざ傷つけるの?




「するわけないよ。痛いじゃん」




そんなこと餓鬼がすることだよ。
心の中で付け足した。





だけど…










私がリスカをするようになったのは

それから数日後だった。



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