先輩のスーツ姿―卒業―
「海、きっと…」
「いいんだ、もう」
「え?」
あたしの少し前を
歩いていたゆかりの足が
止まって、振り向いた。
「たぶん……あたしと先輩は……―」
「海!」
「へ??!!」
走りよってきたゆかりが
指差す。
こっちに向かって歩いてくるスーツ姿の人――
間違いない。
あたしが、
探してた―――
先輩……
「海?行ってきなよ」
そうゆかりが囁く。
うん……
あたしは、
先輩のほうに
走りよった。