2人のゴール
「席替えします」
席替えか……。
今までは、誰と隣になってもいいと思っていた。
でも、この席替えで、咲月の隣の席を望んでしまう。
くじ引きで咲月は「3」を引いた。
男子で「3」を引いた人はまだいない。
残ったのはあと5枚ぐらいで、その中に「3」がある。
咲月の隣になれると思ったが、俺の前に引いた笠寺が「3」を引いてしまった。
そして俺は、咲月の通路側の隣の席を狙った。
運が良かったのか、俺は咲月の通路側の隣の席になった。
席を移動した。
少し離れてるけど、隣には咲月がいる。
そういえば、咲月の通路側の隣の席になるのはこれで2回目だ。
「またお前かよ!」
俺は笑いながら言った。
全然嫌じゃない。
むしろ、嬉しい。
嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
俺は気付いた。
俺は咲月が好きだ。
でも咲月は、俺のことなんとも思ってないよな。
片思いでもいい。
俺は咲月が好きなんだ。