2人のゴール
 

 咲月はやっと落ち着いたみたいで、階段のところに腰を下ろした。

「たくさん遠回りしたね」
「そうだな」

 2年半も、すごく長かったよな。

「あ、そうだ」

 2年前は第2ボタンを知らなかった俺。
 
 今日、咲月に第2ボタンをあげる。

 ポケットの中から第2ボタンを取り出して、咲月の手のひらにのせる。

「これ……」
「第2ボタン」
 第2ボタンを知ったときから、咲月にあげたいと思っていた。

「ありがと。岡田先輩と同じぐらい嬉しいかも」
「同じぐらいかよ」
 同じぐらいはねぇだろ。
 断然俺の方が嬉しいだろ。
「嘘だよ。慎也の方が嬉しいって」
 俺は照れながら笑う。


 これからはずっと一緒にいような。




 他の誰でもない、俺を選んでくれてありがとう。





 これからはずっと、俺がそばにいるから。





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