2人のゴール
 俺は決めたんだ。咲月の恋を応援するって。
 好きな人の幸せを願う。
 俺の初恋は、叶わなかったな。
 でも、咲月を好きになってよかったよ。
 咲月、ありがとう。

 
 教室に入る。
 すぐ目に入るのは、咲月。
 俺今でも、咲月が好きだ。
 でも、咲月が俺を好きでないなら、しょうがない。

「咲月」
「何?」
 やっぱ、寂しそうな顔してる。
 昨日のこと、怒ってるのかな?
「昨日は、ごめんな」
「え?」
「なんていうか……あんなこと言っちゃって」
 咲月は笑顔になった。
 俺はすごく安心した。
 
 俺、咲月のこと諦めるよ。
 だから……。
「俺、咲月の恋応援するからさ。だから、頑張れよ。大丈夫。咲月の好きな人は誰にも言わねぇから」
 俺のこの一言で、咲月の顔から笑顔が消えた。
 なんなんだよ。
 寂しそうな顔したり、笑顔になったり。
 意味わかんねぇよ。
 俺、なんか悪いことしたか?
「ありがと」
 悲しそうな笑みを浮かべて、咲月は教室から出て行った。
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