2人のゴール
【咲月side】

 慎也が、私を誘ってくれた。
 それがすごく嬉しくて、大声をだしてしまいそうになった。
 
 今は放課後。
 これから2人3脚の練習が始まる。

 私と慎也の足を、はちまきでくっつける。そして、肩を組む。
 肩を組むと、恋人同士みたいでなんか恥ずかしい。
 ――ドクン。
 ――ドクン。
 ――ドクン。
 私の心臓の音。
 慎也には聞こえませんように。
 慎也はいつもと変わらず、普通の顔をしている。
 慎也は、緊張してないのかな?
 それとも、緊張を顔にだしてないだけ?

 この放課後だけで、私たちはだいぶ速く走れるようになった。

 放課後の練習が終わり、部活へ行く。
「咲月、なかなかいい感じだったよ。吉田と」
「真希、そうゆうのやめてよ!」
「何で?」
 何でって……。
「恥ずかしいから」
 下を向きながら言う私。
 そんな私に、
「咲月が誘ったの?」
 と、聞いてくる麻衣。
 私が慎也を誘おうと思ったんだけど、慎也が先に誘ってくれたんだよね。その時は信じられないぐらい嬉しかったなぁ。
「慎也から」
「マジ!?両思いじゃね?」
「そうだよ。私も後ろから見てるけど、吉田、咲月のことチラチラ見てたよ~」
 慎也が!!?私を!!?チラチラ見てた!!?
「マジで!!?もう絶対に両思いだよ!!」
 そう……かな?
 そんなこと言われると、照れるなぁ。
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