2人のゴール
「え、あ、あぁ」
慎也は我に返ったみたいで、私の上からどいた。
あれから、気まずくなって、会話が全くなかった。
――社交ダンス発表会当日。
「今日は頑張ろうね」
「あぁ」
私と目も合わせてくれない。
あのことまだ気にしてるのかな?
それとも、嫌われちゃったのかな?
いよいよ私たちの番。
あの時みたいな失敗をしないように頑張ろっと。
っていうか、あれは慎也が悪いんだけど……。
「失敗しないように頑張るから」
この時、慎也は私の目を見て言ってくれた。
それに、笑顔だった。
私、嫌われてなかったんだ。よかった。
踊っている途中、またあの時の失敗が起きてしまった。
慎也は「ごめん」っていう顔をして私を見る。
「大丈夫だよ、慎也。続けよう?」
「あぁ」
そしてまた踊り始めた。