2人のゴール
「卒業生、退場」
よっしゃー!!!
やっと終わる。
泣いてる先輩が意外に少なかった。
小学校の時の卒業式には泣いてる人たくさんいたのに。
教室に戻って、黒板を見る。
帰りの会やって帰れると思ったけど、3年生の先輩の見送りがあった。
しかも30分。
200人以上いても、30分はかからないだろ。
かかったとしても、20分くらいだろ。
正門のところへ行って、3年生の先輩を見送る。
でも、3年生の先輩が来ない。
来ても、まだ2人ぐらい。
後輩に上靴あげてるし。
いらねぇだろ。
学年で色違うんだし、使えないじゃん。
名札だったら、使えないけど、小さくて邪魔にならないからいいけど、上靴はないでしょ?兄弟がいるわけでもないのに。
咲月は、4組の男子の方を見てる。
やっぱり、4組に好きな人がいるのかな?
3年生の先輩は後輩や先生たちと話してるし。
30分かかるわけが分かった。
「おぉ~。吉田~」
林原先輩。
バスケ部もと部長。
「林原先輩、卒業おめでとうございます」
林原先輩は、眼鏡かけてて、真面目そうに見えるけど、服装が少しだけ乱れている。
まぁ、すごくしっかりしてて真面目なんだけど……。
「あ、石橋さんいる?」
石橋って、咲月?
咲月に、林原先輩が何の用?
「えっと……そこにいますけど……」