2人のゴール
「でも、何で第2なんですか?第1とかじゃだめなんですか?」
何で第2なのか、よくわからない。
「心臓に一番近いから」
心臓に?
「制服って、中学校生活で、3年間身につけてるものだろ?だから、その人の思いがたくさん詰まってるんだ」
そうなんだ。
俺も、2年後に咲月に第2ボタンあげられるかな?
「お前、早く告白しろよ。じゃないと他の男にとられるぞ。石橋さんかわいいし」
そうだな。
俺、決めたよ。
修了式の前日に告白する。
修了式って、なんかやなんだよな。
だって、付き合うことになったとしても、春休みであんまり会えなくなるし。
それに、修了式の日にはスッキリして1年を終わりにしたいしな。
咲月がいるところへ戻る。
そこにはもう岡田先輩はいなかった。
「見てよ、慎也。こんなにもらっちゃったよ」
困ってる顔をしてるけど、ちょっと笑ってるのが分かる。
咲月の腕には大量の袋。
岡田先輩も大きな袋にまとめて入れればいいのに。
小さい袋ばっかじゃ持って帰るの大変だろ。
「咲月、岡田先輩のファンなんだってな」
俺が咲月と呼んだからか、一瞬驚いた顔をした。
「そうなんだ~。私、岡田先輩好きなんだ~」
そんな言い方すんなよ。
嫉妬しちゃうじゃねぇか。
「それって、恋愛感情があるってことか?」
こんなこと聞いたら、咲月に気があるって、バレるよな?
でも、もうそんなこといいんだ。
再来週には告白するんだし。
「ううん。ただのファン。ほら、岡田先輩の名札。今日から岡田咲月になりま~す」
胸のポケットに岡田先輩の名札をつけた。
その名札を吉田にしたい。
ふと、俺はそんなことを思った。