2人のゴール

 3年生の先輩の見送りかぁ。
 早く帰りたいのに……。

 なぜか4組の方を見る私。
 どうしても大樹くんを見てしまう。
 でも、恋愛感情はない。
 それだけははっきりしている。
 久しぶりに、大樹くんと話したい。
 でも、約7年間も話してないし。

「石橋さーん」
 あまり聞かない声。
 誰だろう。
 後ろを見ると、そこには林原先輩と慎也。
 林原先輩のところへ行く。
「林原先輩、おめでとうございます」
「あのさ、岡田が石橋さんのこと呼んでたよ」
 岡田先輩が?!私を?!呼んでた?!
「岡田先輩がですか?」
 マジ?!
 やったー!!
 岡田先輩、私のこと知ってるんだ!!
 超嬉しい!!
「おーい、林原ー」
 この声は……岡田先輩!!!
「あ、岡田。そこいるよ」
「あ、咲月ちゃん」
 さ、咲月ちゃん?!
 岡田先輩に下の名前で呼ばれるなんて……嬉しすぎる!!
「これ、あげるよ」
「いや、いらないですよ……」
 だって、岡田先輩が差し出してきたのは、岡田先輩が使ってた上靴なんだもん。
 いくら岡田先輩のファンでも、上靴はいらないよ……。
「あと、これも」
 岡田先輩がくれたのは名札。
 ずっと前から欲しかった、岡田先輩の名札。
「これ、ホワイトデーのやつ」
 え?ホワイトデーって……。







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