2人のゴール
 私、岡田先輩にバレンタインのチョコあげてないのに。
「いや、でも、私岡田先輩にあげてないですよね?」
「いいのいいの」
 いいのって言われても、なんか悪いし。
「そして、これ」
「え?」
 私の手にあるのはボタン。
 もしかして……これって……まさか……。
「これ、第2ボタンですか?」
「うん」
 マジ?!
 岡田先輩から第2ボタンもらっちゃった!!
 あの憧れだった、見てるだけの存在だった、あの岡田先輩から、第2ボタンがもらえるなんて……。
 夢みたい。
「何すか、第2ボタンって」
 いい雰囲気だったのに、それを壊したのは慎也。
 つーか、第2ボタン知らないって、ありえない!
「お前、第2ボタン知らねぇの?!」
 ホントだよ。
 卒業する時には、好きな女子にあげなきゃいけないのに。
 まぁ、強制ではないけどね。
「ちょっと来い」
 慎也、林原先輩に連れていかれちゃった。
 それがなんだか面白くて、笑ってしまった。

「咲月ちゃん、吉田のこと好きでしょ?」
「え?」
 岡田先輩にそんなこと言われるなんて、思ってもいなかった。
 でも……。
「違います。前は、好きだったんですけどね」
「素直になれよ」
「え?」 
 岡田先輩の一言が、胸に突き刺さった。
 私、素直じゃないのかな?
「あと、これも」
「え?」
 そんなにいらないんですけど……。
「これ、何ですか?」




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