2人のゴール
 こんなにたくさんもらうほど、何もしてないし。
「これは誕生日プレゼント」
「え、誕生日って……」
「来月だろ?ちょっと早いけど、おめでと」
 嬉しいけど、私、岡田先輩に何もあげてないし……。
 なんか悪いな……。
「で、これが進級祝い」
 進級祝いって……。
 別にいいのに……。
 ホワイトデーのやつだってもらってるんだし。
「それで、これが、俺のファンって言ってくれたお礼に」
「え!?」
 お、岡田先輩知ってたんですかぁ?!
「ありがとね」
 そう言って、私に背を向けて歩き出す岡田先輩。
「ちょっと待ってください!」
 私は岡田先輩を引きとめた。
「あの、春休み中に部活来れますか?」
「来れるけど……何で?」
「今日、岡田先輩からいろいろもらったんで、お礼したいんです」
 だって、すごいたくさんもらったんだし、お礼しなきゃ悪いよ。
「お礼?別にいいよ、お礼なんて」 
「いえ、私、岡田先輩のファンなんで」
「あはは、そうか。じゃあ、楽しみにしてる」
 岡田先輩のファンなのに、何もあげないなんて、悪いし。
「じゃあね、咲月ちゃん」
「さようなら」
 岡田先輩と話してて、結構楽しかった。
 最初はすごく緊張したけど、結構馴染みやすかった。
 でも、こんなにたくさん困るなぁ。
 せめて大きな袋にまとめてくれればいいのに。

 あ、第2ボタンを知らなかった慎也が戻ってきた。
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