ウソつきな本音
笑顔
季節は夏。と言っても暦上だけでの話。
まだまだ夏の暑さには達してない、心地よい春の昼下がり。その陽気は無情にもわたしの眠気を誘う。
授業中だというのに。
「……ネ、里音、りーね」
ん、…声がする……?
聞きまちがいでなければわたしを呼ぶ声。
わたしは、しかたなく睡眠モードに入っていた上体を起こした。
「リネー、リネ、リネ」
声のする後ろを振り返る。
「リネ、おはよう」
はじけるような笑顔でそう告げたのは、後ろの席のコータだった。