わがまま、言わせてよ【ミュージシャンとの恋】
あたしは、驚きを隠せなくて、手に持っていたバックを床に落としてしまった。
同時に、背中に回されていた腕の力がさらに強くなる。
手が震える…。
いつもなら、あたしからも手をまわすのに……。
それができなかった。
(……早く、赤ちゃんの事を言わなきゃ−−…)
伝えるチャンスは、今、いくらでもあるのにそのことが頭の中でぐるぐる回り続けていて……焦っていたんだ。