わがまま、言わせてよ【ミュージシャンとの恋】
横目で見ると、眉をあげてため息をついている。
なんだか怒られそうな雰囲気だったから、スカートの裾をギュッと握りしめた。
「ばれること恐れてたら結婚なんか出来ないでしょーが」
……そうだよね。
でも−−
「……仕事としてはヤバくないの?」
車は、止まることなく前進してる。
そして、ファンが群がっているホテル前に徐々に近づいてる。
それを見て、ヨシキが一言。
「すげー人の数…虫みたいだ」
−−あたしと同じだ……。
あたしもライブ会場に入る前、入口の手前に群がる、見たことのない人の数に呆気にとられ、同じ事思ったんだ。
ふと、アキラさんの言葉が頭をよぎる。