【執筆チャレンジ】タイムカプセル『結』
なぜ、その事を全員が忘れていたのか。

疑問を抱えたまま、4人は俊の家でビデオテープを再生してみた。

画面には、忘れられていた男、風馬が映っていた。

『このビデオを見たなら、なぜ皆が俺の事を忘れていたのか分かるだろう』

そう切り出した風馬は、4人の記憶を呼び覚ますように、ある事件について語り出す。

その話を聞くうち、4人はうなだれ、悲嘆に暮れ、嗚咽をもらす。

「そうだった…俺たちはとんでもないことを…」

俊が言葉を絞り出す。

佐知も玲も、自分達の隠し事などどうでもよくなっていた。

思い出したのだ。

風馬がいなくなった理由を。

「あいつ…俺達を恨んでるだろうな」

再生が続く画面を見るとはなしに見ながら、俊が呟く。

自分達が追い詰めなければ、風馬は未来を無くさずにすんだはず。

どれほどの恨み言が語られるだろう。

そう思っていると、信じがたい言葉が聞こえた。

「これで、やっと終わりにできた。感謝してる」

風馬は淡々と、事の次第を語る。

それは余りに凄惨で、しかしどうしようもないことだった。

できることなら、生きていたかったに違いない。

だが、風馬の表情は晴れやかだった。
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