うらばなし
「そうか。なれば、今後、君と会話できるのは私だけとなるな。嬉しいことではないか、君と話をするはもとより、喋り続けても構わぬ場所があるとは。あの姫君が舞い上がる気持ちもよく分かり、私にとっては今まで我慢してきた分――」
千ページだし、終わるには、ちょうど区切りいいか。
「おや、ずいぶん呆気ない考えを持ったものだな。肩透かしではないか」
私の作品なのですから、私が決めますよ。
「いやいや、それは間違っているよ。確かに君なくしては産まれぬ作品だが、発端の一人。――“独り言で済ますなよ”」
独り言って……
「私たちは、“ここで”生きているのを忘れないでほしい。例え他の者からは、独り言――君が書いた君のみで作り上げた作品と思われようとも、私たちは紛れもない“意思”がある。喋るし、動け、ああ、時には――君の意に沿わぬことでもしてみようか」
何を。
「導き手は、やはり兎が王道だ」