うらばなし
犬童があの場にいても良かった。けれども、私めが見たのは藤馬だったのです。
「物語の一部を見て、あの章を書き出したわけですね」
はい。わたるんに起こったことを見、そう言えばわたるんが『助けて』と叫んだことはないなと、あんな物語となりました。
「助けたのは、やはりトーマさんなのでしょうか」
そう、思いたいっ。
ウザデレが肯定しないのだから断定出来ないんですよねぇ。
もしかしたら、助けたのは『お守り』で、藤馬の姿を借りたのだろうかと考えたり……
「あなたでも分からないだなんて」
私めがそうだと肯定すれば決定となるのでしょうが、藤馬が違うと言えば違う気がしてならない。わたるんみたくご都合思考で行けば、にやにやしていられるのにっ。
「それが嫌で否定したがるのでしょうね」