うらばなし


犬童があの場にいても良かった。けれども、私めが見たのは藤馬だったのです。


「物語の一部を見て、あの章を書き出したわけですね」


はい。わたるんに起こったことを見、そう言えばわたるんが『助けて』と叫んだことはないなと、あんな物語となりました。


「助けたのは、やはりトーマさんなのでしょうか」


そう、思いたいっ。
ウザデレが肯定しないのだから断定出来ないんですよねぇ。


もしかしたら、助けたのは『お守り』で、藤馬の姿を借りたのだろうかと考えたり……


「あなたでも分からないだなんて」


私めがそうだと肯定すれば決定となるのでしょうが、藤馬が違うと言えば違う気がしてならない。わたるんみたくご都合思考で行けば、にやにやしていられるのにっ。


「それが嫌で否定したがるのでしょうね」



< 1,184 / 1,773 >

この作品をシェア

pagetop