うらばなし
確かに、姫が視ているのは私と同じ世界とは思っていましたが……
んー、まさか、ああいや、まさかでもないか。
「汚い世界を受け入れたくないからと言ってわざと浅い世界しか見なくとも、いずれはボロが出ますよ?
空が青い。ええ、それだけで綺麗に見えるならばさぞや純粋で純朴であり浅はかな脳内ですが、あなたの脳内はもうそこに留まるほど幼くはないはずだ。
第一、そんなハリボテで誤魔化した綺麗など絵空事でしかない。空は灰色にもなるし、黒にもなるし、赤にもなる。そういった全てを視て、仕組みを知った上で改めて“綺麗”と言うのが私であり、“鬱陶しい”と感じるのがあなただ。綺麗な青のままでいればいいものの、とあなたは“一番綺麗なものしか視ようとしない浅はかさ”を求めている。
何故か。答えましょうか。ええ、答えましょう。あなたは世界に絶望しきっている、人間らしくないから人間らしさを求めて、綺麗なものを渇望し羨望する。
汚いものばかりで埋め尽くされていると肯定しているとも知らずに」