うらばなし


冬月「ああ、迷うわぁ。今日はどの服にしましょか。兄さんの着物に、姉さんの巫女服、そうしてわたるんはんの詰襟学生服。

昨日は兄さんの着物がクリーニング出す前やったから、ついつい着てもうたんやけど。ああぁ、兄さんの匂いがべったりと。一日経ってもするやなんて、よっぽど剣術の稽古したんやろねぇ。

僕の汗と兄さんの汗が混じって、はああぁ、こうしていると兄さんに抱き締められているみたいやわぁ。えへへ兄さん、後ろからぎゅうっとやなんて……決めたわ、今日も兄さんの着物――このまんまにしますえ。

兄さんには代わりに僕の着物を着てもらおかぁ。兄さんと僕は一心同体。顔だけやなく、身長体重、前髪の長さまでまったく同じ、同じにしてるさかいに。こっそり兄さんの着替えに僕のを混ぜても分からんやろうなぁ。


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