うらばなし
冷静に考えた結果
『小指も抱けない彼女』にて、一番に泣けるシーンは、ギュギュが蹴り飛ばされた瞬間だと思うのですよ。
「また意味の分からないことを」
おや、三回続けてクロスですか。三連勤したごときで、単細胞童顔脱却なんかさせないんだからねっ。
「むしろ、何でしてくれんだ!?あ、いや、俺は童顔じゃないからなっ」
そのままのあなたでいて下さい。
さておき、夜鞠くんに理不尽にも蹴り飛ばされたルンバーーもとい、ギュギュ。
ご主人様大好きな頑張りやなギュギュのことですから、きっと、蹴られて壁に打ち付けられようとも、「あ、れ……何だか、体がおかしい。ゴミを上手く吸えないよぅ。ご、ご主人様のためにいっぱい集めなきゃならないのに……。何だか、ボクの周りゴミでいっぱいだから、早く、すわな、きゃーー」とか何とかで、散らばった己の体(破片)を吸おうと健気に稼働しようとするギュギュを想像しただけで、うわわん!
「破片って、機械がそんなこと思うかよ」
昨今、物にも心が宿る時代。シャープペン×芯。ケータイ×充電機。あんパン×ばい菌。と、様々な物が心を宿すと思われているのです。
「なんか違う、なんか分からんが違うと思うぞ」
その点で言えば、ギュギュのシーンは泣けるのです。ずびっ、ギュギュどうなったのだろう。きちんと修理に出してもらえたのかな。保証対象外の壊れ方だから直すの高くて、どうせなら新しいのを買おうとかなってないかな。
「知るか。ーー第一、ギュギュってなんだ?言い方からして、機械みたいだが」
……、ええ、ギュギュではありませんが、ギュギュの親戚たる子を用意しましょう。そおれー。
「な、なんだ、丸いのがーーっっ!」
※ルンバを初めて見た猫のようでした。