うらばなし
姫様一行の場合

ーー

いやったああぁ!
温泉だーっ、五回ぐらい入るぞー!

「一番に舞い上がっていますね」

「多忙は変わりないからな。休みの時ぐらい好きにさせてやれば良い」

あ、早速温泉に入りましょうか、姫。

「……」(スパーン)

ぐっ、有無を言わさずスパーンとは!好きにやらせてくれるのではないのですか!?

「日頃の君の行いを見ていれば、こうもなる。ビルディと同じ風呂に入らせてなるものか」

で、では、ロードと一緒に。大丈夫です、湯船にタオルは入れちゃダメよ、なんて野暮なことは言いませんから。

「拒否する。他の奴らと風呂に入る奴の気が知れない」

なんと、潔癖症ーーって、日本人じゃないならば、そういった気持ちが芽生えるのもおかしくありませんね。そんなロードのために個室露天風呂付きの旅館にしたのですから。

「私は特に気になりませんが」

「気にしろ。仮にも一国の姫君が、他人に裸を見せるなど」

「では、ロードとなら大丈夫ですね」

「ーーは?」

「ロードは他人ではなく、家族も同然ですから」

では、私めも広い意味で家族なので、三人だけで一緒にーー

「おやつに持ってきたエクレアは、要らないと受け取った」

「一人一人入りましょうね」

ええ、姫。温泉の醍醐味はハダカノオツキアイなんですから。

「布団ですまきにされたいか」

露天風呂はゆっくり一人でつかるものですよね!

「分かればいい。ーーそういえば、マンナカと単細胞童顔はどこに行った?」

ああ、クロスなら、専用のお風呂に行っているかと。

「マンナカはペットではないですが、動物専用のお風呂があるのでしょうか」

いえいえ、クロス専用のです。

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