うらばなし
姫たちについて
「ふと思ったのですが、私たちが主流の作品って、『ちょっとそこまで世界征服してきます』だけですよねぇ」
そうですねぇ。
「一見すれば、姫と騎士のほのぼのコメディ。その場限りでの短編小説になりかねませんが。実は奥深い秘密が私たちにはありますよねぇ」
……そうですねぇ。
「『姫様とウサ耳はえた金髪童顔』や『ちゆまど―世界は全て君のために―』、細かく言えば、メルマガやらこのうらばなしにも顔を出していますよねぇ」
そ、そうですねぇ。
「そこで私たちの“本質の物語”がないってあまりにもひどくはないでしょうかねぇ」
そうでぃすねぃ。
「話を逸らせるとお思いで?」
……すみません、勘弁してください。
「別に私は構いませんが、あまりにも投げやりかと思いましてね。
例えば私、不本意ですが“全人類の毒”“人体のワードにおいて万能たる釜”などと別作品で言われていたりしますが、それの本質――物語はありませんよね。
これではどういったことなのか、読み手に分からないのではないかと思うのですが」