うらばなし
ーー
迎えに来てと言っても来ないとは、結局のところ、“そういうことなのだろう”。
見る夢は選べない。
起きたら必ず泣いてしまう夢。
うすら笑う“奴”が、夢を変える。
一本のロープを差し出された。
「これが、一番欲しいのだろう?」
同じ笑みで囁かれた。
両の手で、ロープを伸ばす。
力いっぱい伸ばし、切れないことを“確認”する。
確認し、安心する。
した後、自身の手首にロープを結ぶ。もう片方は、“奴”の手首へ。
意外そうな顔など“奴”はしない。分かりきっていたと言わんばかりに、結ばれた腕を掲げてみせる。
迎えに来てと言っても来ないのは、結局のところ、“こういうことなのだろう”。