うらばなし

「ヒイイィ!」

渉「え?」

冬月「お前、僕の渉になにしようとした?足先から削いでいってやろうか?」

「ギイィ」

冬「痛いか、もっと痛がれ。僕の渉を傷つけようとしたのだから当然だよねぇ。命乞いから殺して下さいと言うまで、虐めてやろう!」

渉「ふゆ、冬月くん?」(京都弁なしということは、かなり怒ってる……。冬月くんの足元にある肉片は、やっぱり、僕を襲おうとしたのか)

渉「あ、あの、冬月くん。ちなみに聞きますが、人とかではないですよね?」

冬「そうどすえ。下半身しかない化け物だったさかい、斬り伏せたわぁ。はは、まあ、人間でもなんでも、わたるんはん付け回す阿呆には同じことしたんやろうけど。あ、わたるんはんもやるぅ?右足は残したさかいザクザクと」

渉「いえ、いいです。あと、怪異でもそこまでやる必要は……」

冬「……。そう」(ざっくり)

渉(ためらいなく、とどめを……)

冬「こんなんに、情けなんか不要どすえ。僕がいなかったら、わたるんはんが危険だったんどすから」

渉「そういえば、冬月くん。どうしてここに?」

冬「ぃややわぁ。わたるんはんが『照れるから、往来であんまりイチャイチャしないで』言うたんやろ?」

渉「……。いつから、ついてきていたんですか?」

冬「そやねぇ。んー」

渉「考え込むほどの時間、僕の後ろにいたんですね」

冬「わたるんはんは、トラブルに巻き込まれやすいさかい。守るのは当たり前どすえ。僕がいるんやから、わたるんはんは好きな時に好きな場所に行ってええよ。ずーっと、見守っててあげますわぁ。照れ屋なわたるんはんのために、いちゃつくの我慢して、僕がんばりますえ」

渉(短冊の願いが、妙な形で叶ったなぁ)


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