うらばなし
ーー
翌日。午後九時。
渉(また遅くなってしまった。今日も地方に行ったけど、あまりいい収穫はなかったな。帰ったら、何を食べよう)
渉「……」ピタッ。
渉(周りには誰もいない。気配もなし。虫一匹もいないような感じだけど)
渉「冬月くーん」
冬「なにぃ、わたるんはん!」(木の上より登場)
渉「サスケで一位取れますよ、冬月くん……。大丈夫ですか、あんな高い所から降りて」
冬「平気どすえ。もう、僕を呼ぶやなんてぇ、往来でイチャイチャ禁止言うたのはそっちやないのぅ。昨日の害虫駆除のご褒美なん?今日は腕組んで、ベタベタしてええん?暑いからイヤ?ダメ?」
渉「聞きながらも、すっごい密着されますね」
冬「ベタベタ嫌なら、僕の腕斬ってえな。蜘蛛切貸しますえ?」
渉「いえ。そんな事態になるなら、遠慮します」
冬「わたるんはーん」(ベタベタベタベタ)
渉「あの、冬月くん」
冬「なにぃ?」
渉「良かったら、僕の家で夕食食べませんか。少し遅いですが」
冬「わたるんはーん!」(頬すりすりすりすり)
渉「こんな感じに僕が冬月くんのことを気づいていれば、夕食にも誘えるので、今度から隠れないで下さいね」
冬「あぁ、わたるんはんの無防備さに理性がーーっっ!ええよ、わたるんはん。今夜はわたるんはんの好きに、し、て、も」
渉「最近、白和えに凝っているので、メニューは和食にしますね」