うらばなし
ーー
魔法使いのやめ方など知らない。
しかして、“あの輩”はワタシが抜けたことも見透かしているだろう。
思い出すは、出会いのあの日。
ワタシが初めて人間を食べた日に、笑みを携えやってきた。
『産まれる場所を間違ったものとして、君を選ぼう』
ある者は、神に恋し、己も神となりたがっている人間。
ある者は、産みの親に人生を否定されてきた人間。
ある者は、人とは言えない姿こそが美しいと眼だけとなった人間。
そうして、ワタシはーー
『そんな者だからこそ、この世界を守ってはどうかね?“この世界に住まわせてもらっている”恩返しをしてはどうか。でないと、今度はより酷い場所に産まれてしまうよ』
世界平和のために。
理想を持って頷いたからこそ、去る時は絶望を持ち帰る。
まっさらな草原を求めて。そんな場所(平和)を世界中に広げるために。
この爪牙を使っていこう。