うらばなし
ーー30分後。
紅「成果は?」
紫「三人」
紅「こっちも三人よ。まったく、海に何しに来ているのかしら!」
紫「雛にあんな水着を着せる君も同じようなものだと思うけどね……そういえば」
紅「あら、雛がいないわね」
紫「……」
紅「……」
紫「とりあえず、迷子センターに連絡を」
紅「いえ!どこかの岩陰に連れ込まれてないか探してくるわ!」
紫「いやな想像しないでもらえるかなーーあ、雛の声」
紅「どこから!?ぜんっぜん、聞こえないわよ」
紫「どんな雑踏でも、何キロ先にいようとも、雛が俺を呼ぶ声は聞こえる。海の方からだな」
紅「ヤンデレの耳は地獄耳なのね。海の方って、んん?あの、沖の方で白くてぽつんとしたものは」
雛「紫暮さあああああん!」(流され中)
紅「バカーっ!」
紫「雛っ」
紅「さすがヤンデレ!我が身省みず、水平線の彼方であっても彼女を助けに行くなんて!あんたが雛の恋人であることを認めてあげる!」
紫「雛、今!」バシャバシャ
雛「きゃー、紫暮さんっ」
紅「行け、行くのよ!」
紫「ひ、なっ」バシャバシャバ
雛「紫暮さんっ、紫暮さんっ」
紅「ちょっと、ペースが落ちてーーあら」
紫「……」バシャ……バ
紅「……」
紫「……」プカー
雛「紫暮さんっ、泳げないのに来ちゃダメですよ!」
紅「バカアホオオオォ!」
※ライフセーバーに助けられました。