うらばなし
最低でも3つは買うべきだった
ーー
菜子「うわわわわんー!」
灯籠「なんだ、いきなり」
菜「大切な物を落としたー!」
灯「また猫耳とか言うんだろう」
菜「違うー!猫耳はもっと大事だから、肌身離さず持ってるもん!」
灯「そんな物を常備するな。で?何無くしたんだ」
菜「灯籠から貰った腕時計ー!」
灯「猫耳以下か、俺のは……」
菜「どうしよーっ、110ー!」
灯「するなするな。俺も探すから」
菜「灯籠ごときが見つけられる訳ないじゃん!だって、私が無くしたんだよ!?」
灯「お前は辺境の地にでも行っているのか」
菜「ごめんね、とーろー!せっ、せっかく記念に貰った腕時計なのにー!」
灯「……」
菜「うわーん!ダウジングも、無くした物が見つかるおまじないも効果がなかったー!」
灯「探し方の基礎から学べ。はあ……。最後に時計見たのはいつだ?」
菜「昨日の朝ーっ。時計つけて買い物したの!」
灯「じゃあ、昨日の記憶を辿れ。時計外すようなことしなかったか?」
菜「んー。あ、トイレで手を洗う時に、『濡れたら灯籠に拳骨される!』と思って外した」
灯「したこともない被害妄想語るな。なら、十中八九、そこの洗面台だろう」
菜「分かった。そのお店に電話してみる」(カバンがさごそ)
灯「……」(結構いい値段したものだから、もうしかしたら……)
灯「なあ、もしも見つからない時はまた、同じのを。だから、泣くのをやめーー」
菜「ああああっ、あったー!」
灯「……」
菜「な、なんで、カバンの中からーーそだそだっ!洗面台に置いて忘れる素人と私は違うのだよ、とほくそ笑みながら、カバンに入れたままだったー!」
灯「拳骨してもいいか……」