うらばなし
ーー
冬「わたるんはん、今日の僕は、わたるんはん以外にベタベタしますえ」
渉「えっと……、冬月くん。枕持って何を。というか、なんで僕の寝室にいるんですか」
冬「ああ、これがわたるんはんの枕。今日はわたるんはんの枕を抱き締めますえ。わたるんはんの匂いが染み付いてるわぁ。毎日、わたるんはんはこれに頭をつけて、すやすや眠るんやねぇ。熟睡のし過ぎで、涎なんかも垂らして、可愛い寝顔なんやろうねぇ。見たことないけど、わたるんはんの寝顔なんやから可愛いにーー見たことない。そうだ、渉の寝顔見たことない。涎垂らすほどの無防備な寝顔見たことないのに、この枕は。毎日毎日、渉の枕になって。いっそ、僕が腕枕でもして寝かせてあげたいのに、そうか、こいつ、こいつがいるから渉は僕に寝顔を見せてくれないのか。こいつさえいなければーー」
渉「冬月くん、ワタが出ますので、抱き締めるならもっと優しく」
冬「わたるはんは、嫉妬せえへんの!ヤキモチも!僕は枕にでさえ、嫉妬出来ますえ!」
渉「ええと。冬月くんが何をやりたいか分かりませんが……とりあえず、今晩泊まっていきますか?」
冬「!!」
渉「寝顔見たいそうで。別に構いませんよ」
冬「わ、わたっ……!」
渉「はい?」
冬「渉と一夜を、ずっと一緒に、で、でも、きっと渉はそんなつもりなんかなくて、だったら、手を出してはーーっっ、生殺しじゃないかっ」
渉「えぇ……」
冬「わたるんはんの鬼っ、でも好き!ああぁっ、僕はどないすればええんどすか!」
渉「寝て落ち着きましょう、冬月くん……」