うらばなし
忘れた頃にやってくるけど、私めの中では永久不滅なのです!

花子「執事さん、ハロウィンだからお菓子ちょーだい!」

クラウン「いささかながら忙しいので、またの機会に」

花「ケチー。この前カボチャのマフィン作っていたのに!」

ク「あれは、我が主が所望されたものですから。主の命ならば、例え北極にいようともマフィン作りに南極にでさえも行きますよ、ハナコさん」

花「ハナコじゃないもん、カコだもん!うわーん、ハロウィンなのにー!お菓子の一つも貰えないなんて!」

ク「現役幽霊たるあなたならば、街に行けばお菓子を独占出来るでしょうに」

花「したよ!でも、みんなして私をイジメるのー!霊能者や、陰陽師や、エクソシストや、ゴーストバスターズまで私を追いかけ回すんだよよよよよ!」

ク「ゴーストバスターズ相手でも無事なあなたは、ある種の無敵ですね」

花「ひどいよっ、みんなして!執事さんも!もーもー、“もう何がなんだか分かんない”!」

ク「こうなることは、そこはかとなく承知していましたよ」

※ポルターガイストなう。

花「えぐっ、ひぐっ。あ、あれ、部屋がめちゃくちゃになっている!執事さん、暴れたの!?」

ク「私にイラつきを教えて下さったのは、切れ味が悪い包丁で切るカボチャと、あなたぐらいのものですよ。ーーこれでは仕事になりませんね。分かりました。お菓子を作りますので、材料を買ってきて下さい」

花「えー、外寒いー」

ク「幽霊が何を仰っているので?」

花「分かったよー。まったく、執事さんは人使い荒いんだから!」

ク「では、こちらの買い物リストとエコバックを」

花「りょーかいっ」

ク「私はこの部屋の惨状を何とかしなければ。とりあえず、掃除機を出しますか」

花「あ、執事さんのワープゾーン」

ク「魔術です。空間に歪みーー“近道”を作り、私の倉庫より、こうして物を取り出す訳ですが」

花「これに入れば、寒い思いしなくてもおつかい行けたりする?」

ク「行けないかと。ここを通れるのは、術者たる私の両腕と、無機物の物だけでーー」

花「入れた!行ってきまーす!」

ク「……、無機物?」

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