うらばなし
寒い=君に決めたっ!
ーー
渉「さすがに……」
(寒くなってきたな。後からヒーターを出して置こう。でも、少し暖まるか。コタツはずっと出しっぱなしなのが幸いした)
渉「……」
(少し、休もう)
ーー
冬月「寒くて暖まりたいなら人肌やと思って、しょうが湯飲んで、わたるんはん会いに来れば」
渉「……」(すー、すー)
冬「コタツで寝てるやなんて!」
渉「……ん」
冬「!!」(しまった、渉のことを起こしてしまうところだった!)オクチチャック
渉「……」
冬(どうやら、起こさずに済んだか。にしても、渉がコタツで寝ているなんて。だらしなさとは無縁なのに。ほんに、リラックスして寝てるんやねぇ。あんの包帯から聞いた話じゃ、渉の休まる場所なんて家にもないなんて言うてたのに。っっ、涎まで垂らして!)
渉「……」
冬(そういや、『気づいてハニー』でやっとったな。寝ている人は嘘をつかない。話しかけて返ってきた答えは本当のこと。ハニーが好きな人の名前を聞いて、別の女の名前上がったもんやから、修羅場になっていたけど)
渉「……」
冬「わ、わたるんはん?」
渉「……ん?」
冬「わたるはん、わ、わた、渉がこの世で一番愛しているのは、誰?」
渉「……、冬月く、ん」
冬「!!」
渉「えっと、いつからここに」
冬「やっぱりそうなんだああぁ!」
渉「!」ビクッ
冬「渉の一番は僕!僕だ!は、はははっ、僕がっ僕が一番!渉にとっての一番!あはははははっ、くはっ、あー、あぁー!こんなにも幸せなんて、渉のおかげで、僕も、僕も渉を幸せにしなきゃ!今の僕のようにっ、この世で一番の幸せ者にしなきゃ!ねえ、渉!今欲しい物を言ってよ!世界の果てに行ってでも、君のために取ってくるからぁ!渉のために動きたい、渉のために何かしたいさせて、させてくれ!
何でもいい!何なら、僕の一部でもそのものでも、何でも、渉に全部あげるから!」
渉「……、ひ、ヒーター」
冬「分かった!すぐに買ってくるから!」
渉「が、物置にありますの、でーー行ってしまった」
(どうしたんだろう、冬月くん。まあ、いつものことか。あ、そうだ)
渉「言葉からして、すぐにまた帰ってくるみたいだし、鍋の用意をしておくか」