うらばなし
世の大人たちよ、こどもの夢のために気合いじゃあああ!
ーー
園木「ジングルベー、です!ケーキ作って来ましたよ!」
倉石「……」
(俺の家にもサンタが来たああぁ!)
園「お邪魔してもいいですか?」
倉「……」
(煙突なくても入って下さるのですか!突貫工事でもいいのならば、今から天井に穴を開けるのに!あ、滞在費もこちらでもちますから、グリーンランドに帰らないで下さい、延長料金も支払いますくわらああぁ!)
園「ありがとうございます。わー、部屋の中はやっぱり暖かいですね。外は寒くて」
倉「……」
(寒い中お越し頂きありがとうございます天使サンタ!エアコンヒーターストーブつけてますんで、こちらのソファーでごゆるりと。くっ、ケーキよりも甘い匂いが彼女のつむじから!)
園「あ、まずはケーキを切り分けーーあれ。ソファーの上に」
倉「……」
(枕とパジャマがーーって、これ彼女のじゃないか!)
園「こ、これ、私の」
倉「……!」
(な、なんで、身に覚えがないぞ!確かに彼女のパジャマと枕は欲しいとーー彼女の天使臭が十二分に堪能できるからと、夢にまで見た代物だが、俺は断じて盗みは働いていない。働いたとすれば、すぐに使用しているはずだし、ソファーに置いたままにしておくわけもない。
そう、もしも手に入れることが出来たというならば、まずパジャマは一時間に一回のペースで顔をうずめ、枕に至っては彼女の皮脂を採取して保存したのちに、俺がそれで彼女羊要らずで安眠する予定だと言うのに!)
園「なんで、倉石さんが……もうしかして」
倉「……」
(ちがあああう!いや、欲しいのは事実だけど違う!正規ルートで手に入れようと考えている最中の俺が、盗むことなんかしないから!)
園「枕とパジャマ。そ、そうですよね。今日はクリスマスだから、わ、分かってはいましたけど、あの、わ、私、まだ、あ、でもっ、倉石さんのこと好きだから、で、でもーっ」
倉「……」
(なんか凄まじい誤解されている!いやいやいやっ、しない。する前にベランダから飛び降りる!か、彼女が、俺の部屋にお泊まりだなんて……!考えただけでも、顔が火炎放射器にっ)
園「倉石さん!?な、なんでいきなりケーキに顔を!ぱ、パイ投げみたくなっていますよ!」
倉「……」
(平常心、平常心だ。田舎のおかんを思い出せ、平静になれ。あ、甘い)
園「あ、あの、話の続きですけど、添い寝なら、だ、大丈夫です、よ?」
倉「……!」
(アイキャンフラアアアアイ!)
園「く、倉石さあああん!」
※積雪2メートル以上だったため、無傷で添い寝出来ました。