うらばなし

ーー

依子「ちょっ、ちょっと、これ、気絶してんじゃないの!?冬月くん、起きなさい!寝たら死ぬわよ!」

渉「寝ているだけみたいですから、依子さん。無理に体を揺さぶっては……」

依「起きるのよ!起きてこの薬を飲みなさいっ。白沢のおじいちゃんが煎じてくれたお薬よ!」

渉「あ、えっと、さっきさざめーーお医者さんから貰って来た薬を飲ませたので、他の物は……。飲み合わせ悪いとより悪化します」

依「やってみなきゃ分からないじゃないっ」

渉「やって分かってからじゃ遅いです」

依「なによ、あなた!渉くん?本来なら自己紹介するところだけど、まず怒らせて!」

渉「えぇ……」

依「冬月くんが、こんなに苦しんでいるのよ!なんでそんな冷静なのっ。も、もしかしたら、し、しんじゃ……!」

渉「冷静さを欠いたら、適切な介抱は行えません。冬月くんが大切だからこそ、焦燥で間違った対応は出来ないんですよ」

依「それが冷静なのよ……!」

渉「そうでもないですよ。心臓、かなりバクバクしてます」

依「……」

渉「焦燥するからこそ、逆に冷静にならなければと頭が思うんですよ。とりあえず、冬月くんが起きるまで絶対安静にしましょう」

依「悪かったわ……」

渉「いえ」

冬「あ、れ……。渉に、ねえさーーっっ、何で入って来て、ごほっ!」

渉「冬月くん、無理して起きてはいけなーー!」

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