うらばなし
ーー
姫ーっ、ポスター返して下さい。
姫「ええ、無事に完結なされたようで。あなた得意のヤンデレさんでしたね」
『監禁されることがお仕事です』なのですが、ヤンデレ彼氏×社蓄彼女の組み合わせになっております。
「社蓄?」
はい。造語でして、己を犠牲にしてまで働く人のことを指します。
サービス残業、休日出勤、休みでも電話は手放せず、かかってくれば来たで会社かと絶望する反面、光の速さで出て、朝の暗い内から出勤し、夜も暗さが深まってから帰宅し、泥のように寝ても、夢でも仕事。周りが連休の中、ただ一人仕事服を着て過ごす一日、いつ休み取ったけ?とカレンダー眺めて見るも、前の休みがいつだったかも忘れてしまうほど、仕事仕事で、慈善活動じゃないのに、積み重なるサビ残の嵐でーー
「社蓄が凄まじいのは分かりましたから、戻ってきて下さい」
はっ、私めとしたことが、雨音(あまね)ちゃんトランスしていました。
「今作も監禁ものですねぇ」
監禁=ベッドに手錠拘束は必須ですよね!
「私に語らいを求めないで下さいね」(ニッコリ)
さらりとアブノーマル扱いされたような……
まあ、今回は雛ちゃんのように涙目ぷるぷるチワワ状態にはなりませんでしたが。
「むしろ自分から監禁されていますよね」
よくよく考えれば、仕事とて、会社に拘束され、途中で抜け出すことも出来ないかと。雨音ちゃんにとって、外に出られないのはそれほど苦でないのかもしれませんと思いましたが、「そこは新垣さんラブなので」とさっき言われましたので、これぞ愛の成せる技です。
「ああ、遠方にモザイクあると思えば、雨音さんの言葉に感極まった新垣さんが飛びついた様子でしたか」
暗幕、暗幕。(セッセッ)
「さて、こちらがあなた所望のポスターです」
帰ってきたポスター!
はっ、しかもか額縁に入ってセレブリティになっている!
「ええ。飾りますので、そのままではと思い、ロードに頼みました」
……え。
「ロードも張り切ってやっていましたよ。力みすぎて、青筋三つほど出来ていましたが、きびきびやって下さいました」
……。
「どうです?『空波のですから、丁重に扱って下さい』と言っておりますので、破損もシワもなく、むしろピカピカに」
姫のいじめっこおおおぉ!