うらばなし
オ「うんうん。ワタクシが飼っている兎は、ナススくんだけだよん。だから、あんなこええぇん女王様のもとに行かないでねん」
ナ「なっ、いつの間に!」
オ「別の召喚師に会って勧誘んされちゃった時ぃん、きっとナススくんは断ってくれると思ったよん。まあ、その手を使って何人かの召喚物持ってかれたのも事実だけどん。ナススくんは、ワタクシのもとに残ったん。ご褒美をあげよん」
ナ「だから、人参なんかいるか!」
オ「えぇー。じゃあん、何がいいん?」
ナ「何がって、その……。だ、…………っこ」
オ「聞こえないよん。ナススくんは小さいからねん。人間で言えば、五歳ぐらいかなん?ほら、距離詰めて聞くから、抱っこしてあげるん」
ナ「っっ!」
オ「さてん。ナススくんの願い事は何かなん?」
ナ「ね、ねえよ!お前なんぞに、俺の願いが叶えられるか!」
オ「規格外(スペシャル)なワタクシにも叶えられないなんて、随分と大きな望みなのねん。見た目に反比例な野暮ん」
ナ「見た目言うな、アホ!」
オ「子供扱いされたくないんならん。下ろすん?」
ナ「っっ!下ろすな!下ろしたら、その、死ぬ!」
オ「えぇ」
ナ「俺が死んだら困んだろ!」
オ「いや、別にん。君の代わりはいっぱいいるしん」
ナ「……」
オ「凄いねぇん。目が金魚鉢みたく水でいっぱいだねぇん」
ナ「……」
オ「泣かないん、泣かないん。男の子でしょん?」
ナ「アホ、主!転んで怪我しちまええぇ!」