うらばなし
ーー
紫「ということが、先日あり、以降、雛と音信不通になった」
紅葉「こんの、大馬鹿ああぁ!」
紫「もう刺し殺してくれ。雛を泣かせた自分が憎い」
紅「どこの世界に、バレンタイン当日、彼女よりも豪華なプレゼントをする男がいるのよ!雛の気持ちも考えなさい!」
紫「あんな市販のケーキ。雛の手作りに比べたら、些細な物だ」
紅「あんたが買って行ったの、諭吉一枚する限定ケーキでしょうが!高給取りでもないくせに、ブルジョワってんじゃないわよ!」
紫「高給取りでなくとも、俺は極端に出費がない。酒もタバコもギャンブルもせず、浪費しようとも思わない。使うこととなれば雛に関することだけともなれば、こんな時にしかお金は使わない。雛はかなり無欲で遠慮がちだから、イベントに乗じてプレゼントしたーーのだけど」
紅「しょぼーんしたところで、取り返しはつかないわよ」
紫「分かっている。だから、せめて謝罪しようと昨日からメールや電話、果ては一夜雛の部屋の前で待機してみたけど、そのどれもに応じてくれなかった」
紅「昨日、今年一番の寒さじゃ……」
紫「首を吊ろうと思う。君には伝言をお願いしたい。死んでも、雛を見守っているよ。と」
紅「マジになりそうなことはしないで。やめなさい、雛が泣くわ」
紫「泣かせてしまった」
紅「より泣くわ。はああぁ、あんたと雛は相思相愛なんでしょ。雛の気持ちぐらい汲み取りなさい!ヤンデレなら、無理やりコースでこの状況を打破なさい!」
紫「俺から理性取ったら、もう二度と、君は雛と会えなくなるけど」
紅「穏やかなヤンデレルートに進みなさい」
紫「分かった。もう一度行ってみる。ダメなときは、伝言頼むよ」
紅「どうしようかしら。実は紫暮は、二股していて、相手の女に刺されたとでも言って、絶望する雛をあたしが慰め、幼なじみ最高ルートに持って行くのもいいわね」
紫「ダメなら、理性を捨てるか……」