うらばなし
恐怖映像は、夏でも冬でも関係ない
ーー
【これは、とある廃墟にて、肝試しを行ったカップルの映像である】
『ねえ、こわいよ。もう、帰ろうよ』
『もうちょっとだけ。俺の友達が、ここで見たって話してたんだ。この階段のところで』
ガチャン
『ひっ。い、いま』
『二階からだな。上には誰もーーうわっ』
『きゃああああ!』
【お分かり頂けただろうか】
骨「分かりたくもねえええぇ!おぎゃあああっ、階段から首がぎゃあああぁ!」
秋月「やかましいどすえ、黙っときぃ」(みかん、ずぼっと)
骨「ぎゃああぁ、目の穴にみかんがすっぽりいいぃ!」
秋「ほんに、あんさんは毎回。落ち着いてテレビも見られへんの?第一、妖怪が幽霊に怖じ気づくんやない。親戚みたいなもんやろ」
骨「違いますううぅ!俺みたいな妖怪は生きてえんじょいしてるけど、幽霊は死んでますううぅ!これぐれえのことも分からねえのか、ェアーン?」
秋「目がみかんな奴が、凄んでも怖ないんやけど。あんさん、誰に物申しているんどす?」
骨「謝らねえぞ、俺は!しかして、今回は謝ってやんよぅ。次からは謝んねえからな!覚悟しとけよすんませんでしたあああぁ!」
秋「コタツの上で土下座せえへんで。テレビ見えへんわ」
骨「動物特集にしよーぜー。恐怖映像は夏に見るもんなんだ見ねえけどー」
秋「あんさんを恐怖映像として投稿したら、いくらか貰えるんやろうか」
骨「俺をてれびじょん様に!?おうおう、お茶の間のあいどる誕生じゃねえか。待ってろ、恐怖映像に相応しく、夜露死苦を骨に彫ってきてやっからよおぉ!」
冬月「兄さん、兄さん!もう、来ないなとこにおるんなら、僕の部屋に来てえなぁ。自分の部屋におらへん時は僕の部屋に来てくれる約束違いますぅ?兄さんのために布団温めておいた、の、に」
秋「冬月、恐怖映像やっとるよ。一緒にコタツ入りながらみかんを」
冬「なんで骨ごときが、兄さんと二人でお茶している!」
骨「ぎゃあああ、みかんで頭蓋骨にひびがぎゃあああ!」
冬「僕と兄さんの時間を奪っておいて、ただで済むと思うな!」
骨「あ、あきつき、たすけっ、ぼはああぁ!」
秋「ああ、よく言うあれやねえ。本当に怖いのは生きた人やと」