うらばなし
ーー
【これは、とある女性の部屋の映像である】
『かんぱーい』
『就職おめでとー』
『今日は集まってくれてありがとう!』
『いやぁ、ほんと苦労したよねー』
『ねー』
『でもこれで、安心というか。きゃっ、なに、くらっ』
『停電?』
『待ってて、ブレーカー上げるから。はい、明るくなったー』
『もー、びっくりしたー』
【お分かり頂けただろうか?窓に注目してほしい。電気がついた瞬間、こちらを覗き込む、白い影が】
いやいやいや、ないないないない。
ロード「君は、ああいった類を信じないのか」
信じますけど、これはない。だって、カメラの焦点が、映すべき友人から左寄りになって窓が映るようにズレていますし。夜なのに、うっすらカーテン開いて、その隙間からのぞき込まれているのを見れば、ねえ。
ロ「その割には、俺の手を握る君の手が、汗塗れなんだが」
作り物だろうと、本物だろうと、怖い物は怖い。だめだ、あの覗き込む顔!夢に出る!
ロ「違うテレビを見ろ」
こ、好奇心が。
夜眠るときに見なければ良かったと後悔すると分かっているのに、どうしても見てしまう心理が!
ロ「本音は?」
ロードの手を合法的に握られる!
ロ「……」ぺしっ
あぅ。
手を離すとは、ロードは怖くないのですか!
ロ「驚きはするが、怖いとは思わない。そこにいるのは、そこにいる。あるものは、ある。それだけだ」
やだイケメンっ。
だからこそ、合法的に手を握らなければっ!うわあぁ、机の下になんかおる!
ロ「だから見るなと言っているのに、はぁ」
※呆れつつも、怖がる人を見捨てない真のイケメンがここに。