うらばなし
姫「おめでとう!マンナカは、ケル犬からケルベロスに進化しました!」
マ「俗に染色され過ぎるのは如何なものか、姫君よ。貴女は少々、お転婆が過ぎる。ご自身の立場を理解成されよ」
姫「久々のケルベロスですねぇ。やはり大きい。この屋敷を上回りますか」
マ「聞いておられるのか、姫君」
姫「鼻先が乾いてますが、病気ですか?」
マ「鼻先を撫で回さぬよう願いたい。さあ、我に乗れ。このまま、地上に降ろそう」
姫「では、失礼して」(ヒョイ)
マ「もう少し、淑やかに乗れぬものか」
姫「……」
マ「……。どうかされたか」
姫「このまま、世界征服が出来そうな気がします」
マ「貴女が娯楽に飢えているのは承知したが、我に其れを求めぬように」
姫「かつて、ケルベロスに乗った姫はいたでしょうか」
マ「人を乗せたのは貴女が初めて故に。人類初なのでは?第一、我はもう、“三首”(ケルベロス)ではなくなった。右と左は、我の」
姫「マンナカ、前進です!手始めに、ヒャッハーさんが支配すると豪語なさる世界を!」
マ「本気で世界を征服なさるおつもりでいるか!」
姫「冗談ですよ」
マ「全くもって……。ほら、地上だ。降りるが良い。あの騎士が我を見ては厄介でしかない」
姫「そうですね。クロスには、羽が生えたので自分で降りたと伝えておきます」
マ「貴女が言うと嘘も真に成ります故、敵いませんな」
姫「そうですか。でしたら、マンナカはもう、“大丈夫”ですよ」
マ「……。何がと問うのは不躾か」
姫「大丈夫なのです」
マ「貴女が言うのならば、そうなのだろう。其れとしか至らないのだろう」
姫「三首から、真ん中(あなた)だけになろうとも、右と左の代わりにはなれなくとも、私はあなたが大切ですよ」
マ「我とて同じだ。我が主君よ」