うらばなし
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はい、ですので、また私め大好きヤンデレ作品ですよ。
姫「知らない家に監禁された女性。そうして、あなたが書くとなれば、必然的にヤンデレな人物は出てくると思っていましたが」
ええ。なので今回、ヤンデレではない、ただの気持ち悪い変質者が身代わりとなりました。
姫「ヤンデレと思わせて、ただの犯罪者の話になったかと思えば、やはりヤンデレ作品でしたか」
実際、三葉ちゃん狙っていた巨漢は、付きまといをしていたので、あそこで宮本が何とかしなければ、取り返しのつかないことになっていたのも事実なんですよねぇ。
姫「何が最善とは言えませんが、あまりにも行き過ぎた監禁(保護)は、ヤンデレさんならではですねぇ。三葉さんの回想ーー宮本さんとの思い出で、どことなく彼女への愛が深すぎると感じていましたが」
宮本の愛と言いますか。今回のヤンデレたる宮本は、かなりの臆病者ですよ。
作中で何度も言いますが、『怖い』。三葉への愛に比例して、恐怖心も増えていっていますから。
そこで、変質者が三葉の部屋に入ったともなれば、強制的に保護コースになり、あの家へ。
姫「ですが、変質者さんは、宮本さんの家も特定していたのですね」
会社近くまで宮本に付きまとっていましたから、自力で見つけたのでしょう。そうして、侵入。そこで見た、あの家の異常性。
姫「変質者さんが言った、『なんで、そいつなんだ』はその意味を込めていたのでしょうね」
怒り狂っての言葉だったので、憎悪しかありませんね。そうして、三葉ちゃんを傷つけ、無理やりに……
そこが、宮本と、あの男の違いかと。
仮にも逆の立場なら、宮本の場合は怒り狂う前に、何としてでも三葉を救おうと考えますから。
姫「自分本位か、相手のためか。その愛し方によって、ヤンデレの定義は変わってくるのですね。三葉さんを守るために、一階の部屋に閉じ込め、鍵をかけ、それをーー鍵を躊躇わず飲み込むあたりは、ヤンデレさんらしく異質な愛が見受けられます」
あの避難部屋は、三葉と一緒に宮本も入らなければならなかったんですよ。
内側から鍵かけられますし、侵入者が部屋に入れず、かつ、玄関からも出られず立ち往生している間に、用意した刃物やらで窓を破って共に逃げる。そんな計画をしていた宮本ですが。
「間違った判断は、それこそ、三葉さんを守ることしか頭になかったから、ですか」