うらばなし
ついに!

【ヤンデレ男子】【放課後】【廊下】

「今、帰り?」

気さくに話しかけてきた幼なじみには、こちらも同じ態度で接する。

上げられた手に、ハイッタッチ。また明日ー、と返し、緩い挨拶をしようとすれば、彼は私の手を掴んだ。

「今日、告白されてたよね」

校舎裏という古典的でも、誰も来ることがない場所の出来事を、彼は何故だか見ていたらしい。

「お前は可愛いから、そうなるのも無理ないけど。あんな人気のない場所にまで、律儀に行っちゃうなんて。無防備過ぎない?」

「学校で、襲われる心配なんかないよ」

反論すれば、『へー』と言いたげな顔をされた。

いい加減、手のひらが熱い。離そうとすれば、体を引き寄せられる。

ここは、廊下。まばらでも、生徒は行き交うこの場所で。

「学校でも、襲うよ」

『俺は』と、含みある声は、私の口腔に直接吐き出されたよう。どよめく生徒お構いなしに、彼は。

「こうして見せつけておけば、他の男は寄って来ないね」

私の唾液で湿った唇を歪ませるのだった。

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