うらばなし
「うるせー。うじうじするのがムカつくんだ」
ぐすっ、い、いいじゃないですか、ほっといてくださいよ。
「できるか。お前が悲しめば、姫もまた悲しむし。何より、あいつを可哀想って思うこと自体が気にくわない!
あの結末を――あいつが決めたことを、他人のお前が悲しんで否定するなよ!」
それは……
「やれやれ、クロスは。もう少し柔らかく言えばいいのに」
「いいんですよ、こんぐらいで。逆に生易しい方が、こいつのためにならないんですから。慰めるわけじゃなくて、叱っているんですよ、俺は」
「なら、私は柔らかく叱りましょうかね」
姫……
「どんな結末だろうが、柳葉草という人物が幸せと言うなら幸せなのですよ。
あなたが泣くことなどありません。あれが一番良かった。何よりも“報われた形”だった。
悲しむなとは言いませんが、結末の否定はなさらないでください。あなたのしたことは間違いではないし、間違いと言えばそも、幸せと言った柳葉草をも間違いにしてしまいますからね」