うらばなし
「だから真に受けるなと言っている……。ビルディは嘘をついても、すぐにバラすからな。聞き流せば、精神への実害などまったくない」
こうなりゃ、鬼畜姫に謀反じゃっ。空波無双を今ここに、伊達にバーチャル世界で1000斬りはしていないっ。
「するな、話を聞け」(ガシッ)
ですが、ですがっ。
「ビルディに悪意などない。ただ笑わせるためだ。彼女は人が嫌がることなど絶対にしないからな。あるとすれば、それは冗談を流せない心が狭い奴の被害妄想に過ぎない」
そ、そうか……。
姫は遠回しに私の心の余裕なさを教えてくれたのか。
「……」
そういえば、快晴の空を綺麗だと見上げたのはいつだっただろう。
いつも目まぐるしい毎日に、下ばかりを向いて早足だった。
誰かの冗談を笑えないほど、感情が廃れていただなんて。それを教えてくれた姫に、わたしは……私は何てことをしようと……!