うらばなし
「君は他人の目に敏感だからな」
ええ。
書いている間は、楽しいんです。
もちろん、書く言葉に迷ったり苦労しますが――本当に楽しくて楽しくて、故に奔走しがちになる。
気づけば納得できない文字の羅列。
書いている間はあれほど楽しいのに、読み返すと首を捻ってしまう。もちろん、時には『こんな書き方もあるのか』と、自分自身に拍手をしたい気持ちもあったりします。
「書くと読むとで、まったくの別人のようだな」
恐らくは私だけなのでしょうかねぇ。
別個です。書くと読むにあたっては、それぞれ別の意思が働くと言いますか……。私であるのに、私ではない。客観的に物事が見れるのはいいですが、自分のことを客観的に見てしまってどうするのやら。
「いいのではないか。別個の意思だろうと。それが君の本質だ。向上心に変えて、生かそうという努力になっている。
完璧にこなせとは言わんが、もう少し器用に生きろ。完結させること前提に書いたのを忘れるな」