うらばなし
「『命の譲渡屋』という時音さんの話ですね。そういえば、時音さんは死神とも自身のことを仰っていましたが、死神繋がりで五十鈴さんとも何か関係があるのですか」
はい、そこを話すつもりでした。
命と魂に関しては、死神の得意分野ですが、死神とはあくまでも“魂の伐採人”。役割としては死んだ者の魂を肉体から切り離すことなのですが、時音は違います。
「『命の譲渡屋』らしく、誰かの命で誰かを存命させてますよね。代金は魂だとか、五十鈴さんとはまったく違う役割を持っているようで、少しばかり怖い印象があります」
そうですねぇ。
五十鈴は慈善活動だとすれば、時音は商売。
自分の命を使って大切な誰かを長生きさせたいとはいつの時代にもいますから、それなりに“繁盛”しているみたいですよ。
その代価に魂を貰うだなんて、五十鈴が聞いたら激昂ものですが……時音に至っては悪びれることもなく『お客様の願いを聞いているだけですわ』とか言いそうな気がします。